祭祀財産
祭祀財産とは、 系譜、祭具、墳墓を指す。系譜とは家系図のことであり、祭具とは位牌、仏壇のことである。また、墳墓には墓地使用権などの用益権も含まれる。
これらの祭祀財産は相続財産ではないが、相続財産とは別の財産として祖先の祭祀を主宰すべきものが承継する。
例えば長男が祭祀承継者である場合、この長男が相続放棄をしていても祭祀財産は長男が引き継ぐ。
祭祀財産は一般の相続財産と違って相続人による共有という承継方法ではなく、祖先の祭祀を主宰すべき者への単独承継が規定されている。
祭祀を主宰すべき者の決定は、 被相続人が指定した者があれば、 その者が祖先の祭祀を主宰すべき者となる。 次に、 指定がないときは地方の慣習に従う。 さらに、 慣習が不明なときは家庭裁判所が定めることになる。
金銭的価値がある場合でも祭祀財産は相続財産には含まれないため、遺留分や相続分を考慮するにあたりその基礎財産とされることがない。
例えば、限定承認をした場合でも、 祭祀財産を換価して弁済に当てる必要はない。