遺言・成年後見の法律相談

遺言・成年後見問題について

遺言

相続が生じた場合、民法では法定の相続分について規定されています。法定相続分は、画一的に定められているものであって、決して、亡くなられた方、財産を引き継ぐ方の実情を反映するものではありません。遺言書は、相続に際して自分の財産を自分の意思で自由に処分できる唯一の方法です。 生前に自分の抱える不安・ご希望を正しい形式の遺言書に残しておく事が重要です。そのうちに作成すると考えていたがために、結果として遺言を残すことができずに相続トラブルがおきているのが現実です。

相続の説明は相続の法律相談のページを参照ください。

成年後見

どんな人でも、年齢を重ねていくにつれて判断能力が衰えていきます。また、病気で判断能力が低下することもあります。判断能力が不十分だった場合、財産を勝手に処分される、適切な医療を受けることができない等の不利益を受けることがあります。そこで、判断能力が不十分になった人の権利を守る制度として、財産管理や身上監護を行う人を選任する成年後見制度があります。

遺言書に書けること

遺言書の内容が法律上効力を発生する事柄(法定遺言事項)は、法律で定められていて、法律上の遺言は、その法定遺言事項についての意思表示ということになります。

遺言事項にないことを付言事項と言い、これは法律上効力がないというだけで、それ以外のことを書いてはいけないということではありません。

一般的に遺言できる事項は、民法、商法、信託法等の法律上可能とされているもの(認知、未成年後見人の指定・未成年後見監督人の指定、遺贈の減殺割合の指定、遺産分割の禁止、遺贈、相続人の廃除及び排除の取消、財団法人設立のための寄付行為、相続分の指定とその委託、特別受益の持戻し免除、遺産分割方法の指定・指定の委託、相続人相互間の担保責任の指定、遺言執行者の指定・指定の委託、祖先の祭祀主催者の指定、生命保険金の受取人の変更、信託の設定など)になります。

遺言書の種類

自筆証書遺言

自筆証書遺言は一番手軽に作成できる遺言書です。

遺言の全文、日付、氏名を自書し、これに押印することによって成立します。自書であることが必要ですので、ワープロ、録音、録画は無効です。相続人に遺言書が発見された場合、偽造される危険性がありますので、保管場所には十分注意が必要です。しかし、自身で管理することで保管場所がわからなくなり、紛失するケースもあり得ますので、この点も注意しましょう。安全な保管場所としては銀行の貸金庫などがあります。

相続開始後に遺言書を家庭裁判所に提出し検認の手続きを受けなければなりません。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書です。法的に信用力があるので確実な遺言を行いたい人には適しています。公証人が要件を確認しながら作成するため、自筆証書遺言のように作成時に不備が発生する可能性があったり、無効になる危険性は少ないと言えます。全国どこの公証役場でも作成が可能で、病気・ケガなどの理由で公証役場に行けない場合は、公証人に出張してもらうことも可能です。公正証書遺言は、原本、正本、謄本の3部が作成されます。原本は公証役場で保管になります。公正証書遺言の正本と謄本は遺言者本人に手渡されます。

相続開始の際に家庭裁判所の検認は必要ありません。

秘密証書遺言

秘密証書遺言の特徴は、遺言の内容を相続人等に知られることなく作成できる点です。

秘密証書遺言は、遺言者が遺言書に自署押印して封筒に入れ封印します。これを公証役場で公証人及び証人2人以上に対して自分の意思によるものであると申し出て、公証人・証人が署名押印することにより成立する遺言です。遺言の内容は、証人にも公証人にも知られません。秘密証書遺言書の原本は、公証役場で保管されません。作成したことだけが記録されます。もし、方式上の不備があり、秘密証書遺言としては効果がない場合でも自筆証書遺言の方式を満たしていれば、自筆証書遺言として有効になります。

相続開始後に遺言書を家庭裁判所に提出し検認の手続きを受けなければなりません。

成年後見制度とは

成年後見制度には法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。法定後見制度は、今現在すでに判断能力が十分でない場合に利用するもので、本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の3つに区分されます。本人、配偶者、四親等内の親族等法律で定められた申立権者が家庭裁判所に成年後見開始の申立てを行い、家庭裁判所の判断で適任と思われる成年後見人を選任します。成年後見人には、配偶者や子供などの親族が選任されるのが実情ですが、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門家が選任される場合もあります。選任された成年後見人は、本人の意思を尊重しながら、福祉サービスの選択・契約、財産管理などをし、成年後見人の同意を得ないで行った不利益な法律行為を取り消す行為を行うことで本人を保護・支援します。

任意後見制度は将来の能力低下に備えて、自分が将来お願いする内容とそれを担ってもらう任意後見人を決めておきます。手続きは公証役場へ行き、成年後見制度の契約を締結して公正証書を作成してもらいます。

【遺言・成年後見】こんな時弁護士に相談

  • 子供たちに相続をきっかけに争って欲しくない。
  • 子供がいないので遺産をすべて配偶者に相続させたい。
  • 後妻と前妻との子供たちがうまくいっていないので心配だ。
  • 面倒を見てくれた息子の妻にも相続させたい。
  • 未認知の子供がいるが、その子にも相続させたい。
  • 内縁関係の人にも相続させたい。
  • 相続人以外で相続させたい人がいる。
  • 子供の中でも特に多く相続させたい子供がいる。
  • 生前贈与で不公平になってしまった。
  • 遺産を渡したくない相続人がいる。
  • 経営している会社を特定の相続人に渡したい。
  • 未成年の相続人がいる。
  • 財産に土地などの不動産が多い。
  • 遺産を寄付したい。
  • 遺産が、不動産、預貯金、株券、事業など幅広い。

成年後見のご相談

  • 任意後見人になってくれる適当な人に心当たりがない。
  • 遺産分割の話し合いをしたいが、相続人の中に認知症の人がいる。
  • 父親の後見人の兄が父親の預金を使い込んでいるようだ。
  • 配偶者に後見人を付けたいが、自分がなる場合、すでに高齢で自信がない。
  • 子供がいないので、今のうちから自分の財産を管理してくれる人を考えておきたい。
  • 親族や知人に財産が狙われている。